井上尚弥VSフルトン戦:バンテージ問題
7月22日に行われた記者会見でバンテージの巻き方でひと悶着がありました。
それに対して井上尚弥 選手が『ナイーブだな』と返しました。
ボクシングにおけるバンテージの巻き方は、一見単純な行為に見えますが、その重要性は計り知れません。
本記事では、ボクシングの舞台裏で行われる一部分、バンテージの巻き方にスポットライトを当てていきます。
バンテージはボクシングにおける重要な装具の一つで、ボクサーの手と手首を保護し、怪我を予防する役割を果たします。
パンチの衝撃からボクサー自身の手や手首を保護することで、長時間の試合を通じて持続的なパンチ力を維持することを可能にします。
具体的には以下のような効果があります。
- 手首の保護: バンテージは手首を固定し、パンチの衝撃から保護します。強いパンチを打つとき、手首に大きな負担がかかるため、それを守る役割があります。
- 手の骨を保護: パンチの際には手の骨にも大きな衝撃が加わります。バンテージはそれらを適切に保護し、骨折やひずみを予防します。
- パンチ力の向上: バンテージは手と手首を一体化させ、パンチの際のエネルギー伝達を助けます。これにより、パンチ力が増強されます。
日本のルールにおいては、日本ボクシングコミッション(JBC)によって定められたものがあります。そのルールには、バンテージの巻き方に関する規定が含まれています。
基本的に、日本でのルールでは手首や拳の保護を重視し、それによりパンチ力を増大させる効果を認めています。
具体的には以下の規定があります。
- 使用できるバンテージは、ガーゼとテープで、ガーゼは最大15m、テープは4.5mまで使用が許されています。
- 手首や指関節の固定を重視し、それらの保護を目的とした巻き方が認められています。
ただし、バンテージの巻き方により、パンチ力が増大する効果があるため、公平性を保つためには、各試合においてその巻き方について定められたルールを適切に遵守することが重要となります。
となっています。
つまり、選手にとっては、その手の保護、安定化、そしてパンチ力の向上に直結します。
もちろん、海外で試合が行われるときはその地域ごとに、異なるルールに基づいて従います。
7月22日の記者会見で、井上選手はフルトン陣営からのクレームに直面しました。
彼らの主張は、”試合をクリーンに行いたい”というもので、井上選手のバンテージの巻き方に対する疑問を投げかけています。
バンテージの巻き方にもそれぞれの国ごとにルールがあります。
フルトン陣営が指摘しているのは井上選手やその陣営が何らかの不適切な行為を行っているというわけではなく、彼らの目的はただ一つ、試合をフェアなものに保つことと主張します。
どうやらフルトン選手の国、地域では井上選手のバンテージの巻き方は認められていないのでしょう。
バンテージの巻き方により、ボクサーは手首を保護しますが、一方でパンチ力を増大することになります。
これは、手首を固定することにより、パンチによって生じる衝撃を直接、相手に伝えるからです。
つまり、「手首を保護すればするほど、それによりパンチ力が増大する」という事です。
実際に海外での試合で井上選手のパンチを喰らった選手は、一度は立ち上がる機会を得ることができますが、国内での試合でガチガチに固定した手首では、彼のパンチによってKOされる選手はまさに、”マットに倒れ込む”という表現がぴったりです。
フルトン陣営が安全面を疑うのも無理はないでしょう。
規制の厳しいアメリカの巻き方でも、世界の名だたる選手が彼のパンチで倒されていますからね。
この問題は井上選手だけが直面しているわけではありません。
実際にルールで揉めることはよくあることだそうです。
それに、この話をあの場の通訳で伝えるのはちょっと難しすぎますよね。
そこまでルールを理解している通訳さんもなかなか居られないでしょうし…
ていうか、試合前にバンテージを巻く時、お互い陣営、選手も込みで立ち合いのもとで巻くはずですけどね…。
結論
今回は、ボクシングのバンテージの巻き方とその影響について、井上尚弥選手のケースを通して見てきました。
一見小さな事と思われがちですが、試合の結果にどれほど影響を及ぼすかを理解することは、スポーツをより深く理解するための重要なステップです。
このブログ記事を通じて、皆様にボクシングの一部分、バンテージの巻き方の重要性とその影響について理解して頂きたいと思います。
それぞれの国やコミッションのルールに基づいて行われていることを理解することで、誤解や偏見を避けることができればと思い、記事を書いてみました。
この記事を書いている日は2023年7月24日です。
試合は明日ですね。
無敗同士の両選手、どんな試合を見せてくれるのでしょうか。
楽しみにしております。